縁結びの神様
幸神社の主祭神は、猿田彦大神(猿田彦命)です。猿田彦命は神話の中で、天宇受賣命(ア
マノウズメノミコト)と結ばれます。そのことから、猿田彦命は夫婦和合の神、あるいは縁結び の神として信仰されています。本殿の前には、縁結びの願い事を書いたたくさんの絵馬が付け られています。
道の神・道祖神
幸神社は、古くは「出雲路道祖神」と表記され、「道」の神様でした。道祖神(どうそじん)とは、
町や村に悪い物(疫病神、妖異、悪霊など)が入ってこないように、その出入口を守ります。信 州などでは、村々の入口に道祖神の石像や石碑が立てられている様子が多く見られます。
戦国時代より前の幸神社は、出町付近の加茂川の辺にありました。ここは、若狭街道(鯖街
道)や鞍馬街道の終着点(大原口)であり、幸神社はこの都の北の入口を守る神様だったので す。
幸神の名前の由来
道祖神は、別名を"塞の神"(さえのかみ、さいのかみ)と言います。塞(さえ)とは"ふさぐ"と
いう意味です。幸神社の元の名前である「出雲路道祖神」も、「いずもじのさいのかみ」と読ま れていたものと思われます。
現在の神社名の「幸神(さいのかみ)」の名は、"塞"の字を "幸"に書き換えたものです。江
戸時代のはじめ頃に、荒廃していた神社が現在地に移され、この時に今の名前に改められま した。当時既に縁結びの神様として知られていましたので、ふさわしい字を選んだものでしょ う。
猿田彦命(さるたひこのみこと)
幸神社の主祭神は、猿田彦大神(猿田彦命)です。
日本神話では、天照大神の孫の瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)が、高天原から高千穂の峰(宮崎
県)に下り、天皇家の祖先になったと伝えられますが(天孫降臨)、この時に、ニニギノミコトの 道案内をしたのが猿田彦命です。そこで、猿田彦命は道を守る神様(道祖神)とされます。
猿田彦命は、鼻が大きく、背が高く、輝く目で地上までの道を照らしていたと伝えられます。お
祭の行列を天狗の面をかぶった人が先導する様子が各地に見られますが、これは正確には 天狗ではなく猿田彦命です。神話に倣って神様を案内しているのです。
天宇受賣命(アマノウズメノミコト)
天宇受賣命とは、天照大神が天の岩戸にこもった際に、誘い出すために岩戸の前で踊った
神様です。
天孫降臨の途中で猿田彦命に会ったニニギノミコトは、お供をしていた天宇受賣命(アマノウ
ズメノミコト)に命じその名前を尋ねさせました。そして、地上についた後は、この天宇受賣命を 猿田彦と同行させました。神話にははっきり書いていないのですが、二人は後に夫婦になった と信じられ、縁結びの神として信仰されています。
この天宇受賣命も、幸神社の御祭神の1人です。
鬼門の守護 木彫の猿
陰陽道では、東北を「鬼門」といって、邪悪な物が入ってくる方角と考えます。そこで、お屋敷
や、町の東北角に、神仏を祀って守ってもらうことが行なわれてきました。一説によると、幸神 社は、平安時代を開いた桓武天皇が、都の鬼門の守りとして祀った神社とも言われます。
幸神社の東北の角(本殿の東側)の軒下に、御幣を担いだ木彫りの猿がいます。この木彫り
の猿は、御所の東北角(猿ヶ辻)にある猿と同じ形のもので、都の鬼門守護としてまつられてい ます。石神様の横から、柵越しに神社の軒を見ていただければ見ることが出来ます。
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