以前に聖ドミニコ女子修道院の純和風建築を紹介しましたが、今回はその南にある
聖トマス学院(修道院)の洋館を紹介します(梶井町の南端 府立医大病院の北側にあ
ります)。これは、大正12年に建築家武田五一によって設計された建物で、外観は派
手なものではないのですが、内部は数々のステンドグラスや、斬新なデザインの調度で
飾られています。
この建物は、明治から大正時代の実業家である山口玄洞の邸宅として建てられたも
のです。玄洞は、洋反物や綿花の取引で成功して豪商となり、貴族院議員も勤めまし
た。この洋館を建てた後は隠居して仏教信仰と茶道に専念しました。高雄の神護寺の
金堂や多宝塔は、その寄進により再建されたものです。
一方、この洋館を設計した武田五一は、大正から昭和初期に関西を中心に活躍した
建築家で、京大建築学科の初代教授です。京都大学本館(時計台)、府立岡崎図書
館、藤井有鄰館などを設計した他、国会議事堂、京都市役所などの設計の指導をしま
した。京極学区内にも、この建物の他に、同志社女子大栄光館(六角ドームの建物)、
加茂大橋などの作品が残されています。
2005年7月
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