戦国時代ころに作られたと思われる、狂言「石神(いしがみ)」に、幸神社(寺町今出
川上る1丁目西入)が出てきます。
遊んでばかりの夫に愛想をつかした妻が、仲人に離婚を伝えに来ます。離婚をあき
らめさせようとした仲人は、夜に出雲路の夜叉神(出雲路道祖神、今の幸神社)に行っ
て、石神で占うように勧めます。仲人に指示された夫が、面かぶって石神に化けて座っ
ていると、妻がやってきて夫が化けた石神を持ち上げようとします。妻が「上れば里に
帰る」と言えば夫は動かず、「上れば夫に添う」というと夫が立ち上がったため、妻は泣
く泣く離婚をあきらめます。しかし、妻が奉納する神楽に、夫が踊りだして正体がばれ
てしまいます。上げようとする妻とがんばる夫、上から押さえつける妻と無理やり立ち上
がる夫のやり取りが見どころです。
夫が石に代わって座っているというのは、かなり無理な設定ですが、そこが狂言たる
ところ。また、縁結びの神様である幸神社を、離婚の占いに使うのもパロディと思われ
ます。この狂言の存在から、戦国時代当時、幸神社がかなり有名な神社だったことが
分かります(おそらく境内も広かったのでしょう)。縁結びの御神石は、今も本殿の背後
に小さな鳥居があって、その奥に祀られています(出町七不思議の一つ)。
2007年1月
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