出雲路神楽町に小さな観音堂があります。このお堂は「柳谷観音堂」と言い、御本尊
として千手観音像をおまつりしています。この観音様は、目の病気にご利益がある仏
様として信仰されています。前の台に置かれた茶色いつぼの中には、清水が満たされ
ていて、この水を目につけると眼病が治るといわれます。
この観音様が「柳谷観音」と呼ばれるのは、眼病治癒で有名な、長岡京市の柳谷観
音(楊谷寺)の御分霊だからです。しかし、いつ頃から出雲路にまつられていたのかは
分かりません。昭和の始めまで、集落の中に大きな惣堂(そうどう)があって、観音様は
その中にお祀りされていました。惣堂というのは、村の行事や寄り合いに使う建物で、
今で言う公民館です。しかし、惣堂の土地が貸し主に返還されて廃止されたため、観音
様は小さなほこらに移されました。それでは気の毒ということで、その頃熱心に活動を
していた観音講(信者の集まり)の人々によって、昭和29年に建立されたのが現在の
観音堂です。今は、建設に尽力した人々も亡くなり、その近親者や近隣の人々によっ
て静かに守られています。
(柳谷観音堂は、2010年10月に不審火で表扉を焼かれ、これをきっかけに仏像の
安全を心配する町の人々の判断で、観音像はお寺に移されました。100年以上に渡
って守ってこられた地域の皆様、本当にご苦労様でした。現在お堂は修理されて、末
廣神輿会の会所となっています)。
2007年3月
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