広辞苑の表紙の題字の上に「新村 出 編」と書かれています。この新村出は、現在の
広辞苑(第6版)の編集をしている人ではなく、昭和30年発行の初版の編集をした方で
す。大正時代から昭和前期に活躍した言語学者で、晩年は息子の新村猛と一緒に、
辞書の編集に打ち込みました。昭和10年に前身の「辞苑」を発行し、戦争中もその改
訂作業を続けて、20年がかりで「広辞苑」を完成しました。その苦労はNHKのプロジェ
クトXでも取上げられました。
新村出の歌碑が、御霊神社の拝殿の前に立っています。この碑には博士が80才の
誕生日に、神社に参詣をして読んだ歌が刻まれています。新村出の碑がここにあるの
は、48歳の時から92歳で亡くなるまで、その自宅が室町鞍馬口にあり、御霊神社の
氏子だったからです。広辞苑の編集もこの場所で行われました。その旧宅は新村出記
念財団の本部として現存し、いまも広辞苑の改訂版の編集作業が行われています。
千早振 神のめぐみの深くして 八十ぢに満つる 幸を得にけり
2009年1月
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