京極れきし再発見 52


  広辞苑の編集者・新村出(しんむらいずる)の歌碑




新村 出 歌碑
 (御霊神社)


新村出旧宅
新村出記念財団 本部
(北区小山中溝町19)
 

 広辞苑の表紙の題字の上に「新村 出 編」と書かれています。この新村出は、現在の 広辞苑(第6版)の編集をしている人ではなく、昭和30年発行の初版の編集をした方で す。大正時代から昭和前期に活躍した言語学者で、晩年は息子の新村猛と一緒に、 辞書の編集に打ち込みました。昭和10年に前身の「辞苑」を発行し、戦争中もその改 訂作業を続けて、20年がかりで「広辞苑」を完成しました。その苦労はNHKのプロジェ クトXでも取上げられました。

 新村出の歌碑が、御霊神社の拝殿の前に立っています。この碑には博士が80才の 誕生日に、神社に参詣をして読んだ歌が刻まれています。新村出の碑がここにあるの は、48歳の時から92歳で亡くなるまで、その自宅が室町鞍馬口にあり、御霊神社の 氏子だったからです。広辞苑の編集もこの場所で行われました。その旧宅は新村出記 念財団の本部として現存し、いまも広辞苑の改訂版の編集作業が行われています。

千早振 神のめぐみの深くして 八十ぢに満つる 幸を得にけり



2009年1月


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