今出川御門(同志社前)から京都御苑に入り、すぐに右へ行くと庭園があり、たくさん
の枝垂桜(しだれざくら)が植えられています。ここは、江戸時代の近衛家の邸宅跡で
す。かつての近衛邸は「糸桜」と呼ばれる美しい枝垂桜があることで知られていました。
近衛邸の糸桜が有名になったのはずいぶん古く、戦国時代の洛中洛外図屏風にも、
近衛邸と糸桜が描かれています。ただし、この時の近衛邸は今出川ではなく、新町に
ありました。この屋敷は別名「桜の御所」と呼ばれていました。
その元の近衛家があった場所に建っているのが、同志社大学の新町キャンパスで
す。校舎の立替えの際には、発掘調査が行なわれ、近衛家の桜の御所の跡が発掘さ
れています。
室町時代の中ごろ、近衛道嗣の長男で出家した日秀のために、桜の御所の南側に
お寺が作られました。このお寺が本満寺です。新町キャンパスの南側に、元本満寺町
の町名が残ります。新町キャンパスの発掘の際にも、その堀の一部が発掘されていま
す。 本満寺は、天文法華の乱で焼き打ちにあって堺に逃れ、京都に戻った後、今の
寺町通に移ります。
現在の本満寺にも、大きな枝垂桜があり、春にはきれいな花を咲かせます。
2010年3月
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